【2021年度】ゲームアイデアコンテストの結果発表

カードゲーム応募作品
高橋 晋平
当コンテストの審査委員長を務めている、おもちゃクリエーターの高橋 晋平と申します。

無事にゲームアイデアコンテスト2021が終了しましたので、審査結果の発表をしていきます。

全体の講評

今年の大会は、前回と比べても、テーマのアイデア、企画書や試作のデザイン、最終プレゼンテーションなどのクオリティが全体的に上がっていると感じました。ゲーム会社などでは考えることのできない、学生さんならではの発想が数多く見られ、ファイナルに残らなかった作品の中にも素晴らしいものがたくさんありました。

引き続き、この世に一つだけのチャレンジ精神あふれるゲームを考え続けていただけると嬉しいです。

今後さらなる発展としては、ただ斬新なだけではなく、「最も面白い遊び方のルールが曖昧でなく明確に決まっている」「わかりやすい」「面白い」というゲームの基本を忘れずにきちんと作り上げていただけることを期待しています。

【2021年度 グランプリ】◆こじつけIQとりとり合戦(応募者 中江 ほのかさん)

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「こじつけ( ᐛ ) IQ とりとり合戦」応募者:中江ほのかさん

このゲームがグランプリに選ばれた最大の理由は、試作で遊ばせて頂いた際に圧倒的に面白かったことです。それに加えて、最終プレゼンテーションの動画は、見るだけでゲームが面白いことがよくわかる素晴らしい出来になっていました。

この手のコミュニケーションゲーム(会話が盛り上がるゲーム)は、ジャンルとしては昨今人気があり、よくあるタイプのものでしたが、その中でも細かいアイデアやデザインのこだわりが一つ一つ秀逸で、完成度の高い作品でした。

まず、IQを奪い合うという世界観が斬新で、得点板で数値を上下させ、IQが増えたらインテリっぽく、減ったらアホっぽくしゃべるという一つのルールがゲームを数段面白くしていることに感服しました。カードのお題の一つ一つもよく考えられていました。

あまりにも良くできていたので、あえて細かい点を挙げると、もう少し早い段階(緩い条件)で、インテリっぽく、アホっぽくしゃべりだすともっと面白いという感想を持ちました。

見たことのない斬新なテーマの作品がひしめく中で、一見普通に見えるテーマではありましたが、ゲームにとって一番大切な、遊びのバランスが良く面白いという観点で他の作品より頭一つ抜けていたため、満場一致でグランプリに選ばれました。おめでとうございます!

【2021年度 第2位】◆トコトコ!おサボりチキンレース!(チーム:とっとこハラ太郎)

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「トコトコ!おサボりチキンレース!」応募者:とっとこハラ太郎 さん

アリだってサボりたいというコンセプトが斬新で、デザインも可愛く、子供からでも楽しめる作品だと感じました。プレゼンテーション動画からも、ゲームの楽しそうな雰囲気が伝わってきました。

現時点では運要素がだいぶ大きいので、例えばほかのプレイヤーを邪魔したり、女王アリの操作ができたりすると戦略性や駆け引きが生まれてきてもう少し面白くなるかもしれないなという感想を持ちました。

【2021年度 第3位】◆magnet voyage(チーム:鬼灯の灯火さん)

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「Magnet Voyage」応募者:鬼灯の灯火さん

まず、方位磁石をコマとして、磁気島の移動によって針が向きを変え、進行方向が変わるというアイデアの斬新さに興奮し、遊び出したときのワクワク感が止まらなくなりました。

釣りをすると宝物やアクシデントが出てくるという演出も楽しかったです。

なかなかゴールできず、運任せになってしまう点があったので、ルールを整理していただくとより面白くなる可能性があると感じました。デザインももう一歩魅力的なものになるといいなと思いました。

【2021年度 マーブル賞】◆アンダーレイキャッチ(チーム:ジェントルメンズ)

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「UnderlayCatch」応募者:ジェントルメンズさん

相手の駒に自分のレイをかけて、石化すると黒く見えるというアイデアが斬新で、アート性も感じました。学生時代に緑と赤いシートを使っていた審査員一同も、それが発想の起点でゲームができたことに驚きました。

ルールがシンプルな反面、どうすれば勝てるのかのテクニックを理解するハードルが高く、ゲーム時間も長く感じてしまったので、この仕組みであと一歩面白いルールを追及できないか、興味が湧きました。

【2021年度 特別賞】◆幽霊VS人間によるかくれんぼ(チーム:チーム坂本パン屋)

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「幽霊VS人間によるかくれんぼ」応募者:チーム坂本パン屋さん

内容物のデザインと出来が魅力的な作品でした。真夜中の校舎の2階に上がるところなど、学校の怪談感があってワクワクしました。何度も人間側が目と耳を覆って、幽霊側が相談するというくだりが、ゲームのテンポを悪くしてしまっていることが残念でした。幽霊を探すことも運要素がまだ強すぎる気がするので、ゲームの面白さとバランスを突き詰めていくと、より良い作品になると思います。