【2022年度】ゲームアイデアコンテストの結果発表

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高橋 晋平
当コンテストの審査委員長を務めている、おもちゃクリエーターの高橋 晋平と申します。

無事にゲームアイデアコンテスト2022が終了しましたので、審査結果の発表をしていきます。

全体の講評

今大会も、コンテストの主題であるゲームのアイデア、試作品のデザイン、最終プレゼンテーションなどのクオリティが前回大会と比べて大幅に上がっていました。もはや、作品が面白い、デザインや試作品のクオリティが高いことは当たり前というレベルになってきたと感じています。

その中でも、遊びの新しさや独自の世界感など、新規性がある作品が上位に選ばれる結果になりました。世の中にはゲームがたくさん存在していて、まず見つけてもらい、遊んでもらうことが難しい状況です。たくさんの人にゲームを遊び始めてもらうために、「面白そう」と思わせることが大切です。今回上位に選ばれた作品は、デザインやコンセプトなどにより、「面白そう」という印象を持たせることにも成功していました。今後期待することとしては、よりドラマチックな展開がある遊びが欲しいところです。

例えば、「大逆転要素」などを取り入れてみると、嬉しい、悔しいなど、感情がより動かされて何度も遊びたくなるものにできるかもしれません。今回上位に入った作品も、勝敗が決定するまで全員がハラハラドキドキしながら楽しめる要素が少し弱いと感じました。

最終プレゼンテーションの動画も、クオリティは高いものばかりでしたが、欲を言えば、必要以上に時間が長い動画になることを避けて、短くてもいいのでシンプルに内容と面白さが伝わるものを作っていただけると、さらに良かったと思います。

【2022年度 グランプリ】 チームカクタス

応募者名:チームカクタス

作品名:「Cacta Stack」
学校名:札幌市立大学

作品の詳細:こちら
作品の解説動画:こちら

このゲームがグランプリに選ばれた理由は、ゲーム性、デザイン、そしてプレゼンテーション動画、すべてにおいて完成度が高かったことです。

まず、サボテンを積み上げるというシンプルなルールに老若男女誰でも楽しめる間口の広さがありました。その中で、同じ色が接していなければ積むことができないというただ1つのルールを加えるだけでゲーム性がとても楽しくなっており、脱帽しました。どのように積み上げてもいろいろな形のサボテンに見えるというデザイン性の高さにも驚かされました。特別な積み方が要求されるカードのバランスも絶妙でした。

強いて言うなら、ゲームに逆転要素があればさらに面白いと思いました。途中で、得点がリードした人や積むのが上手い人に勝てないと感じると、負けている人は飽きてしまうので、最後まで全員が楽しめるようにルールが発展していくことを期待します。

【2022年度 第2位】 鈴木奏さん

応募者名:鈴木奏さん

作品名:「感覚ジグゾーパズル」
学校名:多摩美術大学

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視覚、聴覚、嗅覚、触覚の4つの感覚を使ってジグソーパズルを完成させるアイデアに、他のゲームにない新しさを感じました。ゲームの最後にイラストが揃う爽快感や、失敗してしまったときのガッカリ感がとても面白く、大人でもつい興奮してしまいました。

ひとつのアイデアですが、ここまで来たら「五感」を全て使って楽しめるように、例えば箱の中身が変えられるようにしておいて、親御さんがお菓子などを入れ、文言を書き換えられるシートなどを用いて、味覚も楽しめるように拡張してみても面白いかもしれません。子供がより長く、何度遊んでも飽きないものになることを期待しています。

【2022年度 第3位】 アキレジアチーム

応募者名:アキレジアチーム

作品名:「かぶるな!配達トラブルバスターズ」
学校名:学校法人 日本教育財団 HAL東京

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作品の解説動画:こちら

この作品は、テストプレイが特に盛り上がりました。遊びが大変に面白かったです。このような大喜利発想系ゲームは世の中にいろいろとありますが、人と被らないアイテムを選んでプレゼンをするというルールが絶妙に楽しかったです。近年人気のあるコミュニケーション系ゲームの進化系を見せていただいたような印象でした。

配達のトラブルを配達物で乗り切るという独特の世界観も、笑える設定として前向きに評価したいです。プレイシートのデザインやサイズも魅力的でした。

せっかく大変に面白いゲームなので、あと少しだけゲームの面白さが誰にでもパッと直感的に伝わって、「お!これ遊びたい!!」と思ってもらえるように、ネーミング、キャッチコピー、デザインなどを工夫してみて頂けるとうれしいです。

【2022年度 マーブル賞】 DreeMurrさん

応募者名:DreeMurrさん

作品名:「水溶液推理ゲーム」
学校名:東北大学

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今まで聞いたことがないゲームのコンセプトで、大変魅力的に感じました。遊んでいる間に水溶液の性質や知識を学ぶことができるという仕組みが素晴らしかったです。

遊んでみると、12種類の水溶液から記憶だけを頼りに当てることは非常に難易度が高く、かといってメモを使うと作業に感じてしまう点があるので、水溶液の選択肢を少なくしたりするなどで推理の爽快感を持たせたり、知識が全くない人のために初級・中級・上級などに分けて多くの人が楽しめるようにしたりするなど、もっと楽しさを追求すればより良い作品になると思いました。

【2022年度 特別賞】 5C1ADチーム

応募者名:5C1ADチーム

作品名:「コトバトル」
学校名:学校法人 日本教育財団 HAL名古屋

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作品の解説動画:こちら

作品名が「コトバを取る」「コトバのバトル」と2つの意味を想起させてくれて、遊びの内容もプレイ動画を少し見ただけで理解できて、面白さが伝わりやすい作品でした。

言葉遊びのゲームが数多くある中、人の言葉を奪うというアイデアが新しく、大変楽しめました。試作品の木札や文字のフォントにもこだわりが見え、デザインも素晴らしいです。

文句なしに面白いのですが、文字系・言葉づくり系のゲームは世界的にも歴史があり類似商品も多いので、このジャンルのゲームを本気で作るのであれば、圧倒的ナンバーワンゲームを目指してほしいです。ほんの少しのルールの調整で、もっと良くなるかもしれません。例えば可能性として、すべての言葉を場に滞留させつつ、10文字の文章を作って一発逆転を狙えるアルティメットルールなど? ぜひアイデアの可能性をもう少し深く探ってみて欲しいです。