【2023年度】ゲームアイデアコンテストの結果発表

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高橋 晋平
当コンテストの審査委員長を務めている、おもちゃクリエーターの高橋 晋平と申します。

無事にゲームアイデアコンテスト2023が終了しましたので、審査結果の発表をしていきます。

全体の講評

今回決勝に残った5作品はもちろん、それ以外にもバラエティに富んだ作品が多く、審査は過去最高の盛り上がりとなりました。
ご参加いただきありがとうございます。心より感謝申し上げます。

どのゲームも、非常に優れた点を持っている一方で、何らかの課題を残している、という印象を受けました。
例えばモノが面白そうでも遊んでみたらゲームになっていなかったり、遊んでみたら非常に面白いけれどデザインの魅力が弱く
「ぜひ遊んでみたい!」と思いにくかったり。
そんな中、グランプリ作品のIce Fishingは「面白そうで、実際に面白い」という、ゲームに必要な条件を充分に満たしていました。

次年度以降に期待したいこととして、学生さんにしかできないぶっ飛んだ新しさや独創性を今まで通り大事にしていただきつつ、
「見た目が面白そうで、遊んだら実際に面白い」を達成するプロ意識をもってゲーム開発に挑んでもらえると嬉しい限りです。
このコンテストも、そこまでハイレベルなものを期待していいところまできた、という気がしています。感無量です。
今後ともよろしくお願いいたします!

【2023年度 グランプリ】 必須アミノさん

応募者名:必須アミノさん

作品名:「Ice Fishing」
学校名:多摩美術大学

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釣った時のうれしさや、釣られた時のくやしさ、ドキドキ感など、感情が動く点もちゃんと「ゲーム」になっていると感じました。
小さい子も、上手い戦い方が分からなくても深く考えずに楽しめるし、戦略的な考え方ができる人は本気の頭脳プレイができます。
そうやって、人により違った楽しみ方で、誰でも遊べるところが優れています。

あえて重箱の隅をつつくように改善点を考えると、釣り人側が本気で魚の動きを考える難易度はだいぶ高く、真剣プレイをするとかなり脳が疲れます。
否定すべきポイントではありませんが、思考の疲労を減らす方法がないか興味を持ちました。
制作物のクオリティも素晴らしかったです。釣り人側から魚が全く見えない構造が見事でした。

【2023年度 第2位】おんせんたまごチーム

応募者名:おんせんたまごチーム

作品名:「アニマルすぱいミッション ~あみだ基地の宝を狙え~」
学校名:学校法人 日本教育財団 HAL名古屋

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あみだくじをベースにして、小さい子供から大人まで楽しめる非常にレベルの高い作品だと感じました。
運だけを頼りに簡単に遊び始められ、早い段階で戦略や心理的駆け引きを楽しめる点が秀逸です。
ゲーム時間も長くなく、サクッと遊べるところも現代のニーズにマッチしていると感じました。

デザインがやや大人のアニメ絵が好きな人向けなので、もしかすると小さい子供がいる一般ファミリーに「難しそう」と思わせてしまうかもしれません。
その点は全く否定しませんが、もしかしたら間口を狭めてしまっているかもしれないので、今後、誰でも手に取りやすいデザインを工夫するとヒットも夢ではないかも、と思います。

【2023年度 第3位】 ひらがなあそびチーム

応募者名:ひらがなあそびチーム

作品名:「それ、あるんじゃない?」
学校名:大正大学

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見た目のシンプルなイメージとは裏腹に、遊んでみると想像を超える新しさと面白さがありました。
言葉を作る系のゲームはこれまで世の中にたくさんありましたが、
言葉ができることを避けてプレーするのは面白く、簡単かと思いきや、どんなに気を付けていてもカードを置いたら言葉になってしまっているところが盛り上がります。
シンプルなルールで子供から大人まで平等に楽しめるところが素晴らしいです。

このゲームの課題は、周りで見ている人に面白さが伝わりづらい点です。
やってみるまで真の面白さが分からず、プレイを傍から見ると退屈してしまう気がします。
ゲーム作りの難しさ、奥深さを教えてもらった気がします。本当に面白い遊びなので、「面白そう」に見せる方法を一緒に考えたいくらいです。それくらい不思議で新しいゲームでした!

【2023年度 特別賞】ツナギーズチーム

応募者名:ツナギーズチーム

作品名:「BUILD WAY」
学校名:学校法人 日本教育財団 HAL大阪

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制作物の完成度が素晴らしく、見てすぐに遊びたくなるワクワク感がありました。
球が坂道になっているフィールドから転がり落ちてこない不思議さや、見た目が他と変わらない鉄球など、これまでにない新しい体験ができました。

ただ、その球をコントロールして撃つことが非常に難しかったです。
審査員一同、だいぶ練習したつもりですが、思い通りに相手の球を狙い撃ったり、
止めたい箇所に球を止めたりすることができず、ほぼ運によるゲームになってしまいました。
もしかすると作った人はたくさんプレーをしていてうまく球をコントロールできるのかもしれませんが、面白くプレイできるようになるまで時間がかかることが難点かなと感じました。

【2023年度 マーブル賞】 いなかもんチーム

応募者名:いなかもんチーム

作品名:「アイデアバトル ジャジャーン」
学校名:芝浦工業大学

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一般販売商品でもアイデア発想ゲームはたくさんある中で、
島を渡り歩きながらアイデアを考えるというストーリー性、デザイン性、ルールなどに新しい工夫がありましたが、
肝心のアイデア発想に使うカードが、最もアイデアを出しにくい条件設定になっている点が要改善ポイントだと感じました。

「この人のためにアイデアを出す」そのターゲットの条件が狭すぎる上、アイデア発想に使う単語が具体性の高い名詞2つ。
これは、柔軟な発想が苦手な人にとって難易度が高すぎます。
アイデア発想が苦手な人が気軽に思いつけるようになる発想のきっかけとは何かを、いろいろな文献や他のゲームなども参考にして研究してみて下さい。